高円宮賜杯第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは、雨天により、8月12日に7会場で予定された1回戦21試合が翌13日へスライドした。過去に優勝・準優勝している8チームは、すべて2回戦へ。1日遅れの無難な船出のなかで顕著となったのは、本塁打と大差決着の激減だ。本塁打は昨年の19試合で20本から、今年は21試合で5本に。是非はさておき、一般用の複合型バットの使用が禁止された影響は明白、といえそうな競技初日を前後半の2回に分けてリポートする。
(写真&文=大久保克哉)
※全試合のリポートではありません
■1回戦/阿賀野水原球場
◇8月13日▽第1試合
多賀が甲斐の猛追かわす
[山梨]2年ぶり2回目
甲斐JBC
000032=5
00521 X=8
多賀少年野球クラブ
[滋賀]8大会連続18回目
【甲】豊泉、岩下-志澤泉
【多】高井、児玉、里見-大橋民、大橋煌
三塁打/中浦(多)
二塁打/中浦(多)、高橋(甲)、大橋民(多)
【評】スクイズ失敗(投飛)からの併殺やけん制死を奪うなど、序盤は甲斐の堅守が際立った。多賀には嫌な流れだったが、3回に打者一巡の猛攻で一掃する。大橋民紀太と中浦奏の連打に申告敬遠で一死満塁から、二番・奥野悠太が中前へ先制のタイムリー。さらに大塚堅史主将のバント安打、岡本律希の投ゴロ、小田悠陽の中前打とクリーンアップの連続打点で5対0とした。甲斐は5回から反撃スタート。5年生の代打・天野玄稀の右前打から好機を広げると、二番・岩下陽人の中犠飛と四番・高橋煌青の左越え二塁打で3点を返した。続く6回にも志澤泉悧主将の二塁打から打線がつながり、一番・白須大翔の中越え二塁打で1点差まで詰めたが、追撃もそこまで。甲斐の中込裕貴監督は「この時代でも、ウチは練習時間も長いし厳しい。よく耐えて頑張ってきた選手たちに勝たせてやりたかった…」と唇を噛んだ。(了)
序盤は甲斐の好守が光った。1回はスクイズを阻んで併殺(上)、2回には捕手の志澤泉悧主将(下)がけん制で一走をアウトに
3回裏、多賀は打者一巡の猛攻。まずは大橋民紀太の左前打(上)、中浦奏の右翼線二塁打(下)で一死二、三塁に
3回裏一死満塁から、奥野悠太(上)と小田悠陽(下)の2点タイムリーなどで多賀が5対0とする
5回表、甲斐は岩下陽人の犠飛と四番・高橋煌青の左越え二塁打(上)で3点。続く小林康介(5年)も逆方向へライナーを放つも、途中出場していた多賀の右翼手・近藤楓が好捕(下)
6回表、5点を追う甲斐は中込裕貴監督に送り出された代打・天野玄稀(5年=上)が右中間へ二塁打を放つ(下)
6回表、一死満塁と好機を広げた甲斐は白須大翔の中越え二塁打(上)で5対8に。最後まで諦めない姿勢が光った
▽第2試合
東16、同点直後に片岡がサヨナラ打
[熊本]初出場
IBCレイカーズ
00103=4
4000 1x=5
東16丁目フリッパーズ
[北海道南]3年ぶり9回目
【I】鈴木、野崎-濱口
【東】川口、西山-徳田
三塁打/佐藤(東)
二塁打/佐藤2(東)、横田(I)
【評】1回表のIBCは3者凡退も、バットの芯で捉えた鋭い球足ばかりで「脅威」を発信。対する東16の打線は「巧さ」で対抗した。1回裏、死球やバント安打などで満塁とすると、押し出しでまず1点。さらに佐藤秀哉の左中間二塁打と、藤田廉の左前打で4対0に。IBCは3回に吉村颯馬、横田碧、石本航士郎の下位打線3連打で1点を返すと、5回には二死無走者から打者一巡、四番・野崎晴路主将の強襲タイムリーなど3安打3四死球で4対4に追いついた。だが東16は直後の5回裏、やはり二死無走者から佐藤が三塁打、続く七番・片岡叡大郎が左前にサヨナラ打を放った。「もっと打てるチームなんですが…」とIBCの横田暁監督。(了)
1回裏、東16は舘洞海生の中前打(上)と、西山宗汰郎のバント安打(下)に2四球で先制
押し出しで先制した東16はさらに、佐藤秀哉の左中間二塁打(上)と藤野廉の左前打(下)で1回裏に計4点
東16の先発・川口琉輝(上)は打たせて取る投球が冴えた。だが3回表、IBCは七番・吉村颯真が反撃の狼煙となる左前打(下)
IBCは3回表に下位打線が3連打。八番・横田碧(5年)の右中間二塁打(上)で無死二、三塁として、石本航士郎の中前打(下)で1点を返す
6回表、IBCは代打・末永透真の中前打(上)などで二死満塁とし、四番・野崎晴路主将の二塁打(下)で3対4に迫る
6回表、1点差に迫ったIBCはなお、五番・大塚文眞の左前打(下)で4対4に。だがその裏、東16が佐藤の三塁打と片岡叡大郎の左前打(下)でサヨナラ勝ち
■1回戦/ハードオフ新潟
◇8月13日▽第3試合
木屋瀬、大技小技と継投で快勝
[栃木]2年ぶり2回目
簗瀬スポーツ
101000=2
30130 X=7
木屋瀬バンブーズ
[福岡]初出場
【簗】石塚、櫻井教、石塚-小塙
【木】森下、石井、藤田-但馬、森下
本塁打/永嶋(木)
三塁打/宇賀神(簗)
二塁打/櫻井輝、石塚(簗)、滝(簗)
【評】初回から試合が動いた。先攻の簗瀬は櫻井輝晴と石塚琉聖の連続二塁打で先制。だが、すぐさま同点スクイズを決めた木屋瀬は、石井爽介の二塁打で一死二、三塁とすると、今度は2ランスクイズで3対1と勝ち越した。2回表、守る木屋瀬は一死三塁から投ゴロで1-2-3と本塁タッチプレーも絡めて併殺を奪う。3回、簗瀬が滝悠杜の二塁打と櫻井教登の中前打で1点差に迫れば、木屋瀬は森下結心の犠飛で突き放す。接戦にケリをつけたのは一番を打つ福岡県の5年生だった。4回裏、永嶋璃陽斗のサク越え3ランで7対2とした木屋瀬が、そのまま逃げ切った。「ボクはホームランより率を残すタイプ。明日もどんどん出塁したいです」と永嶋。(了)
1回表、簗瀬は先頭の櫻井輝晴(上)と、続く石塚琉聖(下)の連続二塁打で先制する
1回裏、藤田海智のスクイズ(上)で追いついた木屋瀬はなお、石井爽介の二塁打で一死二、三塁として、森下結心がスクイズバント(下)。一気に2者生還で3対1に
2回表、簗瀬は先頭の宇賀神蓮斗が左中間へ三塁打(上)。守る木屋瀬は一死後、投ゴロで本塁タッチアウトとした但馬愛飛が、一塁転送(下)で併殺に
簗瀬は3回表も長打から。まずは滝悠杜が右中間二塁打(上)。後続2人は倒れるも、三番・櫻井教登が逆方向に弾き返して(下)2対3に迫る
3回裏、木屋瀬の飯田航平が左翼線へ放ったライナーを簗瀬の左翼手・櫻井輝が飛び込んで好捕(上)。4回裏、木屋瀬は一番・永嶋璃陽斗(5年)の3ラン(下)で7対2に